障害年金|認知症 その3
<3.認知症で障害年金が受けられる症状の目安は?>
認知症の症状がどれくらいだったら、障害年金の対象となるのでしょうか?
① 障害年金の認定基準
症状が重い方から順に1級、2級、3級とされています。
初診日において国民年金に加入していた場合は、1級または2級に該当しなければ認定されません。
これに対し、初診日において厚生年金に加入していた場合には、1級、2級に加えて3級に該当する場合も認定の対象となっています。
障害の等級 |
障害の状態 |
1級 |
高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの |
2級 |
認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの |
3級 |
1.認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの 2.認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの |
障害手当金 |
認知障害のため、労働が制限を受けるもの |
*症状性を含む器質性精神障害とは、先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、膠原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものである。
また、症状性を含む器質性精神障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取り扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
*脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定する。
*日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するように努める。また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況とを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。
② 精神障害に係る等級判定ガイドライン
平成28年より「精神の障害に係る等級判定のガイドライン」の運用が始まりました。
うつ病の症状の判定は日常生活能力によって審査され等級が決められていますが、診断書に記載される「日常生活能力の判定」と「日常生活の程度」に応じた等級の目安をガイドラインとして定めることにより地域差等をなくし公平に判定することを目的としています。
「日常生活能力の判定」とは
「日常生活能力の判定」とは、下記のように、日常生活における7つの項目についての状況を、単身で生活すると仮定して可能かどうかを4段階で判定するものです。
(1) |
適切な食事 |
配膳などの準備も含めて適当量をバランスよく摂ることがほぼできるなど。 |
(2) |
身辺の清潔保持 |
洗面、洗髪、入浴等の身体の衛生保持や着替え等ができる。また、自室の掃除や片付けができるなど。 |
(3) |
金銭管理と買物 |
金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど。 |
(4) |
通院と服薬 |
規則的に通院や服薬を行い、症状等を主治医に伝えることができるなど。 |
(5) |
他人との意思伝達及び対人関係 |
他人の話を聞く、自分の意志を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。 |
(6) |
身辺の安全保持 及び危機対応 |
事故等の危険から身を守る能力がある、通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適正に対応することができるなど。 |
(7) |
社会性 |
銀行での金銭出し入れや公共施設等の利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きが行えるなど。 |
単身で生活していると仮定して、可能かどうかを4つの段階で判定
1 |
できる |
障害状態にない |
2 |
自発的に(おおむね)できるが時には助言や指導を必要とする |
3級障害程度 |
3 |
(自発的かつ適正に行うことはできないが)助言や指導があればできる |
2級障害程度 |
4 |
助言や指導をしてもできない若しくは行わない |
1級障害程度 |
「日常生活能力の程度」とは
「日常生活能力の程度」とは日常生活全般を包括的に評価するものです。
|
日常生活能力の程度 |
想定等級 |
(1) |
精神障害(病的体験・残遺症状・認知障害・性格変化等)を認めるが、社会生活は普通にできる。 |
障害の状態にない |
(2) |
精神障害を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。 (たとえば、日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難を生じることがある。社会行動や自発的な行動が適切にできないこともある。金銭管理はおおむねできる場合など。) |
障害の状態にないか 3級の障害の状態 |
(3) |
精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。 (たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導をひつようとする。社会的な対人関係は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。) |
2~3級の 障害の状態 |
(4) |
精神障害を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。 (たとえば、著しく適性を欠く行動が見受けられる。自発的な発言が少ない、あっても発言内容が不適格であったり不明瞭であったりする。金銭管理ができない場合など。) |
2級の障害の状態 |
(5) |
精神障害を認め、身のまわりのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である。 (たとえば、家庭内生活においても、食事や身のまわりのことを自発的にすることができない。また、在宅の場合に通院等の外出には、付き添いが必要など。) |
1級の障害の状態 |
ガイドラインでは、「日常生活能力の判定」の4段階評価を1~4の数値に置き換えてその平均値を算出し、「日常生活能力の程度」の(1)~(5)と合わせて表に当てはめて目安を導き出し認定時の参考としています。
判定平均\程度 |
(5) |
(4) |
(3) |
(2) |
(1) |
3.5以上 |
1級 |
1級又は2級 |
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3以上3.5未満 |
1級又は2級 |
2級 |
2級 |
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2.5以上3未満 |
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2級 |
2級又は3級 |
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2以上2.5未満 |
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2級 |
2級又は3級 |
3級又は3級非該当 |
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1.5以上2未満 |
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3級 |
3級又は3級非該当 |
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1.5以上 |
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3級非該当 |
3級非該当 |
*障害基礎年金請求の場合、3級は無いため2級非該当と置き換えて判定
*障害等級の目安はあくまでも参考です。認定に当たっては、診断書等に記載される他の要素も含め総合的に判断されます。
考慮される他の要素としては「病状」「療養状況」「生活環境」「就労状況」などがあげられます。
病状は現在の症状のみならず、症状の経過(病相期間、頻度、発病時からの状況、直近1年間程度の症状の変化など)、日常生活の状況や予後の見通しなどが考慮されます。
療養状況としては、入院状況(入院理由、期間、症状経過)、通院状況(頻度、治療内容等)、薬物治療の目的や内容(種類、量、期間、服薬状況)などが考慮され、通院や薬物治療が困難若しくは不可能な場合には、その理由や他の治療の有無とその内容などが考慮されます。
日常生活においては、家族等からの援助や福祉サービスの有無、独居の場合はその理由と開始時期などが考慮されます。
就労については、療養状況や仕事の種類、内容、就労状況、職場での援助の内容、他の従業員との意思疎通状況などを考慮した上で、日常生活能力が向上しているかどうか判断されます。
続きはブログ「障害年金|認知症 その4」をご覧ください!!