障害年金|発達障害 その1

2021/09/25 ブログ
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障害年金は様々な障害で受給されていますが、最も多いのが精神の障害で、発達障害での受給も近年急速に増加しています。

発達障害は脳に機能障害のある生まれつきの病気で、幼少期から現れている徴候を「そういう性格」とされながらなんとか学生時代までは過ごすものの、社会人となり、職場に馴染めなかったり仕事が安定しなかったりと、その特性がクローズアップされ辛い思いに耐えかねて受診して初めて「発達障害」と診断されるというケースが増えています。

発達障害の場合、特定の分野において優れた能力を発揮している一方で極端に苦手な分野があるといった特徴がみられ、凸凹の差が非常に大きいため生活していく上で支障が生じやすいのです。

もしも、あなたが発達障害で仕事や日常生活に支障をきたしてお悩みでしたら、障害年金の請求を検討することをお勧めします。

では、発達障害で障害年金を請求するにはどうすればいいのでしょうか?…ぜひとも知っておいていただきたいことを解説していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. 発達障害ってどんな病気?

2. 発達障害で障害年金を請求する前に確認しておくこと

3. 発達障害で障害年金が受けられる症状の目安は?

4. 発達障害で障害年金請求する時に注意してほしいこと

5. よくあるお問い合わせ

<1.発達障害ってどんな病気?>

発達障害で障害年金を請求するのなら、先ず「発達障害」っていう病気についてよく知っておくことが大切です。

障害年金請求においては病状の申し立て(病歴就労状況等申立書に記入)をするのに役立ちますし、自分の病気と向き合うことがより生きやすく日常生活を送ることにつながっていくと思います。

 

長い間子供の病気とされてきた発達障害は、遺伝的な素因も含め脳に機能障害が起きる生まれつきの障害であるため、基本的な特性は大人になっても変わることがありません。

発達障害は特性によって大きく次の3つに分類されます。人によっては複数の特性を併せ持つ場合もあります。

 

① ASD (自閉スペクトラム症)

「自閉症」「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」などの診断名がよく知られています。

ASDの症状としては、コミュニケーションや相互関係の障害(人の気持ちを理解するのが苦手であったり、冗談や比喩が理解できなかったり、興味のあることを一方的に話し続けてしまったり、表情や目配せなどの非言語的なサインを読み取れなかったりなど)、同一性へのこだわりや興味・関心の狭さ(日課や習慣の変更に弱かったり、特定の物事に強いこだわりがあるなど)が特徴とされていますが、他にも、聴覚・視覚・触覚などの感覚の過敏性を伴ったりすることもあります。

 

② ADHD (注意欠如・多動症)

ADHDの症状としては、不注意(物をなくしたり忘れ物をすることが多く、人のはなしを一定時間集中して聞けないなど)、衝動性(予測や考えなしに行動してしまったり、相手の話を待てないなど)、多動(じっとしていられない、動き回る、しゃべりすぎるなど)が特徴とされています。

これらの症状は、成長とともに目立たなくなる場合もありますが、大人になっても残ることも少なくありません。

 

③ LD (学習障害) 

LDの症状としては、「読む」「書く」「計算する」などの特定の分野の習得と使用に著しい困難を示す様々な状態が特徴とされます。

幼少期に発見される場合もありますが、知的能力の高い発達障害の方は、対処方法を学習することができるため本人も周りも気づかないまま大人になるケースも多く見受けられます。

 

●なぜ大人になるまで見過ごされるのか?

発達障害のある人は、「相手の気持ちを読めない」「注意のコントロールが苦手」などの特性のため、子供のころから集団になじめず、周囲に合わせようと無理をしたり、いじめを受けたりと、つらい思いをしてきたという人も少なくありません。

そういう思いをしながらも、なぜ大人になるまで発達障害があると解らないのでしょうか?

学校では決められた日課に沿って生活し、与えられた課題をこなしていれば、人付き合いが苦手であっても特に問題にはなりません。勉強ができれば、多少場違いな行動を起こしたとしても先生や親がフォローしてくれるでしょう。その特性も限られた人間関係の中では「個性的な性格」ということで

大きなトラブルもなく過ごすこともできるでしょう。

ところが、社会人になると人間関係は複雑になり、いろいろな人とやり取りをしなければいけなくなります。相手の表情や空気を読み取ったり、周囲に合わせて行動するなど、高度なコミュニケーション能力や社会性を要求されるようになります。仕事においても、指示を待つのではなく、自ら計画し主体性を持った行動が求められます。そうした周囲からの要求によって、それまで潜在的にあった特性が一気にクローズアップされて、社会生活に支障をきたすことになる…ということが考えられます。

また、発達障害という概念が知られるようになったのも、ごく最近のことであり、以前は「親の育て方」だとか「本人の努力不足」であるとされたりして、その生きづらさを周囲に理解されないまま、結果的に社会適応ができずに引きこもってしまったというケースも少なくありません。

引きこもり生活をしている方の3割は発達障害だといわれてはいますが、本人も家族も発達障害であることに気付かないまま苦しんでいる方が多いのが現状です。

 

●発達障害を生き抜くために

 

① 診断と治療

発達障害の診断は、ASD、ADHDなど、診断名ごとに基準があり、精神科医が相談者と面談や検査を行いながら総合的に判断します。発達障害の特性は子供のころから存在しているものなので、子供のころからの成育歴も重要な判断材料となります。

治療については、主に薬物療法と生活療法が施されますが、現在のところ発達障害を根本的に治すことはできません。

治療の目指すところの安定的な「居場所」と「役割(仕事)」を見つけるために、対処法を身に着けたり、環境を変えてみたり、周囲のサポートを受けるなどを試みながら生活上の不適応を軽減するためにはどうすればいいのかを模索していくこととなります。

 

② 「苦手なこと」を理解する

発達障害のある人が生きづらさを軽減していくためには、「生活上の不適応を減らすためにはどうすればいいのか」がポイントになります。

そのためには、先ず、ありのままの自分を受け止めて、どのような場面でつまずきやすいのかを分析し理解していくことが大切です。

自分の苦手なところが整理できると、具体的に何に気を付けたらよいのかが解ってきます。

苦手なことを完璧に克服することはできないかもしれませんが、意識を変えたり、生活を工夫することによって、生きづらさは軽減されていくでしょう。

 

③ 職場での知恵と工夫

ASDの人は耳からの情報処理が苦手なことがあり、指示が聞き取りにくかったり、聞き間違えたり、長い説明が途中でわからなくなったりする場合があります。

また、ADHDの人は、同時に複数の情報が入ってくると、どれに注意を向けていいのか混乱することがあります。

工夫改善のポイント

・口頭ではなく、メモやメールなどの「文書」で一つずつ伝えてもらうようにする。

・どんなに些細なことでも必ずメモを取る。

・できるだけ一対一で、できれば窓口となる人を決めて、対面にて指示をしてもらう。

・図やフローチャートなどの自分なりのマニュアルを作る、若しくは作ってもらう。

 

●仕事の段取りが上手くいかない

ADHDの人は衝動性が強く、目についたところから次々と手を付けて、やるべきことを忘れてしまったりすることがあります。また、仕事を先延ばしにする傾向もみられ、中長期の仕事をうまく管理できなかったりもします。

一方、ASDの人は、全体を客観的に見て仕事の段取りを組み立てたり優先順位を決めたりすることが困難な傾向があります。

工夫改善のポイント

・仕事をパターン化する

・やるべき仕事をすべて書き出し、やる順番をつける

・終わった仕事から消し込んでいく

・優先順位がつけられない時は、上司などに優先順位を決めてもらう

 

●片付けられない、物をなくす

注意、集中力の問題や、人によってはこだわりや視覚認知・空間認知の問題で片付けがうまくできない場合もあります。

工夫改善のポイント

・しまう場所を決めておく

・保管場所を一覧表にして、目の届くところに貼る

・物を増やさないよう、定期的に整理する時間を取る

・書類やメモはデータ化して保管する

 

●報告・連絡・相談が苦手

発達障害のある人がよく起こす失敗の一つとして、仕事上で適切な報告や相談ができずにトラブルになることがあげられます。

工夫改善のポイント

 

○タイミングがわからない場合

・メモを書いて相手の机に置いておく

・「今よろしいでしょうか?」と尋ねる

・あらかじめ、上司と相談して定期的に報告するタイミングを決めておく

 

○何を報告すべきかわからない場合

・あらかじめ、報告のポイントを具体的に教えてもらう

・報告する前に、報告する内容を整理して紙に書いてまとめる

 

○誰に相談すればいいのかわからない場合

・業務によって、それぞれの相談相手を決めておく

 

このように、自分の特性や「苦手なこと」が解れば、いろいろ工夫することによって生活上のつまづきを減らしていくことができるでしょう。

また、苦手なことの克服を考えると同時に、「得意なこと」を活かしていくことも大切です。

ASDの人の中には、非常に集中力が高く、他の人が苦手とする緻密性の高い作業を得意とする人もいます。自分の関心のある分野においては、データや文献を調べることに高い能力を発揮する人もいます。

ADHDの人の中には、高いエネルギーと行動力によって気後れせずに誰とでも話ができたり、発想力が豊かでいろいろなアイデアを出せるというような人もいます。

このように、自分の強みも知った上で、いいところを活かす工夫をすれば、職場にとって「必要な人材」となることもできるでしょう。

 

 

     

 

 

 

 

自分の「苦手」と「得意」を理解して工夫しよう!!

続きはブログ「障害年金 | 発達障害 その2」をご覧ください!!