障害年金 | 多発性硬化症 その3
<3.多発性硬化症で障害年金が受けられる症状の目安は?>
多発性硬化症の症状がどれくらいだったら、障害年金の対象となるのでしょうか?
多発性硬化症の代表的な症状の一つに運動障害があります。
障害が出る場所は人によって異なりますが、両下肢に麻痺が生じる対麻痺や、半身が動きにくくなる片麻痺などがあります。又、四肢麻痺となり体が思うように動かせないため寝たきりの生活を強いられる方もいます。
歩行時にふらつく、脚が前に出にくいといった症状が顕著になり始めたら3級、杖を突いても歩行がかなり制限される場合は2級、車いすの生活だと1級に認定される可能性があります。
ここでは、多発性硬化症の主な症状として肢体の障害の認定基準と両下肢の障害の認定基準を記載しますが、それ以外の障害の症状がより重篤な場合には、それぞれの症状に該当する認定基準を参考にして請求してください。)
1 肢体の障害年金の認定基準
症状が重い方から順に1級、2級、3級とされています。
初診日において国民年金に加入していた場合は、1級または2級に該当しなければ認定されません。
これに対し、初診日において厚生年金に加入していた場合には、1級、2級に加えて3級に該当する場合も認定の対象となっています。
障害の等級 |
障害の状態 |
1級 |
・一上肢及び一下肢の状態が、日常生活における動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態 ・四肢の機能の状態が、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」 |
2級 |
・一上肢及び一下肢の状態が、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」 ・四肢の機能の状態が、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」 |
3級 |
・一上肢及び一下肢の状態が、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできるがやや不自由な場合」 |
*肢体の機能の障害が両上肢、一上肢、両下肢、一上肢、体幹及び脊柱の範囲内に限られている場合には、それぞれの認定基準と認定要領によって認定される。
*肢体の機能の障害が上肢及び下肢の広範囲にわたる場合であって、上肢と下肢の障害状態が相違する場合には、障害の重い肢で障害の程度を判断し、認定される。
*肢体の機能の障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久力を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定される。
*手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱われる。
*日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが
概ね次のとおりで、補助具がない状態で4段階での評価がされます。
・手指の機能(つまむ、握る、タオルを絞る、ひもを結ぶ)
・上肢の機能(さじで食事をする、顔を洗う、用便の処理をする、上着の着脱)
・下肢の機能(片足で立つ、歩く、立ち上がる、階段を上がる、階段を下りる)
2下肢の障害年金の認定基準
ここでは、両下肢の機能障害について記載します。
障害の等級 |
障害の状態 |
1級 |
両下肢の機能に著しい障害を有するもの すなわち、「関節の他動可動域が2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの」又は「筋力が著減又は消失しているもの」 |
2級 |
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする状態で、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの すなわち、「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)」 |
3級 |
身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの すなわち、「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(両下肢の3大関節中それぞれ1関節の筋力が半減しているもの)」 |
*認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定されます。
続きはブログ『障害年金|多発性硬化症 その4』をご覧ください!!